計画班

実験A01-A03班および理論B01-B02班

実験 A01班:細胞内液滴のヘテロポリマー分子アセンブリの物理則と進化則の解明

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近年、生物の情報処理機構の中で、細胞内で自発的に空間的な区画を形成し、その中で目的の化学反応を進行させる、相分離液滴が注目されている。相分離液滴は、タンパク質や核酸などの生体ヘテロポリマーの間の結合親和性の強さに応じて自発的に生じる構造体で、必要に応じて融合・分裂・溶解を通して情報プロセスを担うと考えられている。つまり、相分離液滴は情報処理機能を持ち、進化的に配列情報がプログラムされてきた「非平衡分子アセンブリ」であり、その非平衡環境下でのアセンブリやダイナミクスの「物理則」と配列情報プログラムの「進化則」を明らかにすることは基礎と応用いずれの観点からも重要である。

本研究では、生体ヘテロポリマーの配列情報が液滴形成や物理化学的性質に与える影響を実験と理論の両面から解明し、生体ヘテロポリマーに基づく情報処理液滴の設計と構築を目指す。まず、核酸によりすでに実現されている相分離液滴をタンパク質天然変性領域(IDR)の配列によって拡張し、タンパク質・核酸複合液滴を実現して、化学反応で制御可能な非平衡複合液滴技術を開発する。同時に、様々な生物種で見つかっているIDR配列や非コードRNA配列を、研究代表者が構築したヘテロポリマー相互作用の粗視化理論を拡張することで分類し、配列が液滴形成や情報処理にどう関わっているかを進化系統解析により明らかにする。これにより、タンパク質・核酸複合液滴の成立原理の「物理則」を理論的・実験的に明らかにし、配列の進化的な変遷である「進化則」を加味して、非平衡分子アセンブリの文法の理解につなげる。これにより、複合液滴が生体情報処理を担う機構や液滴の多相/多階層化による情報処理の複雑化メカニズムを理解し、最終的には情報処理液滴を設計し構築する。

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川口 喬吾

代表
  • 東京大学理学系研究科、理化学研究所
  • Keywordsヘテロポリマー、相分離、非平衡
  • Societies日本物理学会
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瀧ノ上 正浩

分担
  • 東京科学大学 総合研究院
  • Keywords生物物理学、分子コンピューティング、DNAナノテクノロジー、相分離液滴、化学的人工知能
  • Societies生物物理学会、応用物理学会、化学とマイクロナノシステム学会

実験 A02班:細胞内情報伝達系と化学感覚系のヘテロ回路アセンブリの物理則と進化則の解明

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生体内では、遺伝子発現や代謝、情報伝達、細胞の自己複製といった多様な機能が、動的に組み上がる反応回路によって実現されている。近年、これらの回路は反応素子の集合・解離によって柔軟に構成され、進化的にも機能的な素子が選別されてきたことが明らかになりつつある。しかし、複雑な情報処理回路がいかに獲得されてきたのか、その原理は未解明である。本研究では、非平衡状態で動的にアセンブルされる反応回路における情報処理の効率や限界を明らかにするとともに、環境変化に応じた受容体遺伝子の進化的変遷を解析し、物理法則と進化法則の共役による回路機能の創発メカニズムを解明する。

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青木 一洋

代表
  • 京都大学大学院生命科学研究科
  • KeywordsGPCR、動的符号化、イメージング
  • Societies細胞生物学会、分子生物学会、生化学会、癌学会
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戸田 安香

分担
  • 東京科学大学 生命理工学院
  • Keywords味覚、GPCR、進化、脊椎動物
  • Societies日本農芸化学会、日本進化学会、日本味と匂学会

実験 A03班:自他認証系のヘテロ細胞アセンブリの物理則と進化則の解明

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生命史の大転換とも呼べる多細胞体制の出現によって、生物は単細胞では実現しえない複雑な組織とはるかに高度で多様な情報処理機能を獲得するに至った。この多細胞化がいかにして成立したか、特にそれに要請される細胞の情報処理特性の理解は未踏の課題である。多数の動く細胞による高度な機能的単位の形成においては、個々の細胞の機能的分化と適切な配置・アセンブリが起こる。そこでは、細胞表面に書き込まれた細胞間接着分子の組み合わせによって多種の細胞型が見分けられる。このいわゆる細胞認証をともなう細胞アセンブリの出現は、神経の祖先である動物上皮とさらにはアメーバにまで遡ると考えられるが、その実態は未解明である。

そこで本研究は、遺伝学的手法とイメージング解析に優れた、ショウジョウバエと細胞性粘菌を用い、細胞間の認識とそれによる非相反相互作用を決定する細胞表面分子の認識コードを解読する。また、動物とアメーバで多細胞体制が独立に進化した点に注目し、両者の認証コードとアセンブリ則の共通性を読み解くことで多細胞アセンブリ原理の一般性を捉える。以上から、多細胞化の駆動力となった物理則と進化則の共役関係を紐解き、多細胞アセンブリの創発原理を理解する。

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梅津 大輝

代表
  • 大阪大学 大学院理学研究科
  • Keywordsショウジョウバエ、上皮、多細胞、ライブイメージング
  • Societies発生生物学会、細胞生物学会、分子生物学会
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澤井 哲

分担
  • 東京大学 大学院総合文化研究科
  • Keywords細胞アセンブリー、細胞間認識、細胞性粘菌、細胞選別、自己組織化
  • Societies日本生物物理学会、日本細胞性粘菌学会、アメリカ細胞生物学会

理論 B01班:非平衡・非相反的アセンブリの物理則の基礎理論と解析技術の構築

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生命現象では、熱平衡系における集合体形成やチューリングパターンなどの自己組織化では捉えきれない構造が動的にアセンブルされ、洗練された器官や組織が形成される。このようなアセンブリの形成原理を理解するためには、自由エネルギー描像を超える非平衡系の理論的枠組みと、出現構造の複雑性を記述可能な理論が不可欠である。

本研究では、非相反物理学を軸に非平衡アセンブリ現象の解明と理論基盤の構築を行う。分子、回路、細胞のアセンブリ現象を対象にモデリングと大規模数値計算、相互作用解読技術を組み合わせた研究を展開し、非平衡アセンブリが非典型構造および進化的選択の種となりうる多様性を生みだす仕組みを明らかにする。

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斉藤 稔

代表
  • 筑波大学 生存ダイナミクス研究センター
  • Keywords生物物理、数理生物、計算統計力学、アクティブマター
  • Societies日本物理学会
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花井 亮

分担
  • 東京科学大学 理学院 物理学系
  • Keywords非相反、アクティブマター、非平衡物性物理
  • Societies日本物理学会
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杉村 薫

分担
  • 東京大学 理学系研究科
  • Keywords個体発生、力学、イメージング、ベイズ推定、モデリング
  • Societies日本発生生物学会

理論 B02班:進化情報アセンブリの統合理論と進化則の解読技術の構築

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機能的に突出した例外事象や例外構造を生成しうる原理の理解は、生物だけでなく工学や情報学における基本課題でもある。非平衡過程や進化的選択がこの原理に関わることは経験的に示唆されているが、統一的な理論基盤は得られてない。また実際の生命現象で、これらの原理がどう作用しているかも未だ明らかでない。

本研究では、広義の情報理論を媒介に非平衡物理と進化とを統合し、例外事象の生成原理の理解と設計を可能にする理論を構築する。また例外的な機能の発展に進化選択が果たした役割を実現象から読み解く情報解析手法を新規に構築する。構築した理論や情報技術を分子・反応回路・多細胞のアセンブリ現象に適用し、様々な現象や機能が生命システムにおいて新規に生成したメカニズムを明らかにする。そして得られた理論を、最適化やAIなど情報工学的な課題に応用する道筋も開拓する

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小林 徹也

代表
  • 東京大学 生産技術研究所
  • Keywords理論生物学, 生物物理学, 応用数学, 生命情報学, 定量生物学
  • Societies生物物理学会
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鈴木 誉保

分担
  • 順天堂大学 大学院医学研究科
  • Keywords進化、生物物理、バイオインフォマティクス、複雑系
  • Societies日本生物物理学会、日本進化学会、日本蚕糸学会、日本バイオインフォマティクス学会、日本生態学会
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細田 一史

分担
  • CiNet (情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター)
  • Keywords脳、人工知能、人工生態系、脳型計算機
  • SocietiesSociety for Neuroscience

公募班: Under Review

実験、理論、融合班

実験班

Under Review

理論班

Under Review

融合班

Under Review